「車窓から」   2010.11 安田 倫子

今日も富士は見えない

遥か向こうの多摩丘陵の

空の一点に雲が湧き立っている

そこに富士があるしるし

日々お山を仰ぎ見て生活出来る人々の幸せよ

瞼の奥に

心の中に

富士を持つことの出来る民の幸せよ

幸せな人はこうして揺るぎない象徴を戴くことができている

その象徴を持たぬ人々が我が物顔に巷を闊歩する昨今の我が国の情けなさよ

この国で生かされている元々の幸せに気づけよ

目の前のことだけに魂を奪われるな

雲の向こうの富士の存在に誇りを持てる人を育てよ

先を生きる者のせめてもの務めとして

コメント
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Tさん
神代の時代・・富士は現代(いま)の何倍もの大きさでそこに高天原がありました。
ですから、この日ノ本の国は世界の中心でありひな型であると「じんちゃん」に教えられました。
雲の向こうの存在に誇りを持つ・・・・すばらしい言霊をありがとうございます。

リンコ
素晴らしいところにお住まいの貴女には、一瞬ごとの神の息吹きが感じられることでしょう。
益々のご活躍を祈ります
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Oさん
普段忘れてゐるけれども、富士山と皇室は日本人の原點ですね。
晴れた日でないと見えない富士山もちやんと存在してゐるし、祭祀王は常に日本人の安寧を祈つてくれてゐます。

リンコ
勿論象徴の意味は存じ上げております(*^^*)
11月は宮中最重要祭祀、新嘗祭ですね。
天皇はその年に収穫された穀物を供え、自らも召し上がり、五穀豊穣を八百万の神々に祈ってくださいます。現代でも、多くの時間をかけて尽力されているのですね。
この国の民にその事を教える手段がまるでといっていいほどないことを憂いに思うのです。

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