ロータリークラブ講演 報告

■ 呼吸法でよみがえるこころとからだ(抜粋)

7月28日(金)東京シティ日本橋ロータリークラブ 於 ロイヤルパークホテル

皆さまこんにちは。
安田倫子と申します。本日は、この会のメンバーでいらっしゃいます、福本 豊様のご紹介により、この機会をいただきました。どうもありがとうございます。よろしくお願いします。
只今は、会長の大橋さま、先輩の福本さまより、過分のご紹介をいただきまして、大変恐縮いたしております。
呼吸法のお話の前に、ひとつだけ、申し上げたいことがあります。
それは、さきほど、ロータリークラブの歌を皆様でうたわれましたが、「平和親睦」のところを、「やわらぎ、むつみ」とお歌いになりました。漢字の音読みでなく、日本語の言葉として音にされたということを耳にしましてとても嬉しく思いました。
私の仕事のひとつは、美しい日本語を文字も、発音も後輩達に伝えるということです。「やまとことば」をきちんと読み込まれていらっしゃるこの会の歌はすばらしいと、感じた次第です。


さて、私は永年に亘って、「文・武・仁」を念頭に置いて行動して参りました。
その中で、20代、30代と、どうしても、「あたま」の方に優先順位が行きがちになってしまいました。しかし、「からだ」の方も「いとわ」なければ(愛しいと書いて大切にする意味、広辞苑にもすでに無いのに驚いております。すべて「いとう」は嫌いの意味、「厭う」しか載っていないのです。残念です。)努力の成果は残っていかないのだということを、40代に入るというそのときに、ガンや膠原病という事態に到って、思い知らされました。

あれから20年近くの間、「こころ」を磨くものは、まず「からだ」あってこそ、の「こころ・魂・命」の存在というものを忘れてはいけない、ということを皆さまにお伝えしたくて、こうして講演会や生涯教育の教室でお話申しあげております。(からだのみ鍛えるというのは、ここでは議論の対象外です)

それから、私の授業では村上和雄筑波大学名誉教授の提唱している「サムシング・グレート」の存在に同感し、こころをほぐすために「笑い」を取り込むようにしております。
これが「氣」と同じものであると考えるからです。(中略)

なぜ呼吸法なのか
10代から30代にかけて武道の修行のし過ぎで「偏差(禅病)」となってしまった私にとりまして、健康回復に最も効果があったものが、白隠禅師の伝承した「内観の秘法」(軟酥の法、イメージ呼吸)でした。
禅師は江戸時代、1865年のお生まれで、伊豆松蔭寺で活躍され、臨済宗中興の祖として、名高い人ですので、皆さまもよくご存知の方でしょう。
この「内観の秘法」(軟酥の法、イメージ呼吸)というのが、丹田腹式呼吸法といわれています、呼吸法の中心をなすものです。
禅師も激しい修行の後、24歳でどの医者も見離すほどひどい禅病にかかりました。今でいう、肺結核と強度のノイローゼだそうですが、歩くのもやっとで禅師が最期を覚悟されたとき、幸いにも尋ねていった、京都白川山中に住む白幽仙人に授かった方法です。
禅師は84歳まで延命され、さまざまな書や画を書かれたばかりでなく、後輩のために『夜船閑話』などでこの呼吸法を紹介されました。
私の授業では、この呼吸法を実践しております。入門編として、「ほぐす」ことから始めています。

こころとからだが激しく消耗したとき、呼吸は浅くなり、からだは酸欠状態になります。そんなとき、誰でも知らず、知らずに、大きく深呼吸しています。からだの防衛本能で、ちゃんとからだを護るようになっているのですね。
たった、一呼吸で、いつもの呼吸よりも3倍も4倍もの酸素をとり入れる事ができて、細胞がよみがえるのです。一息つくのに、道具も必要ありません。費用もかかりません。面倒なこともいりません。早速、試されてはいかがでしょうか。

丹田腹式呼吸法
禅の呼吸は鼻で息を吸って、口で吐き、息を吸うときに下腹を膨らませ、吐くときに引っ込める、「鼻呼吸」の方法が一般的に言われているものです。
すでに実践され、健康を維持なさっていらっしゃる方も多いことと存じます。
一息を十分意識して行うこの方法は「鼻呼吸」の「意識呼吸」であって、現在では、東大の口腔外科のお医者さん、西原克成先生はじめ、専門家から、病気予防の効果があると薦められるようになりました。

欠伸(あくび)の実践
私の授業のキーワードは「ほぐす」「ゆるめる」「あたためる」です。
からだが緊張したままでは、うまく「鼻呼吸」「意識呼吸」ができません。
「うまく」というのは、一息でからだ全体の細胞の隅々まで、酸素を行渡らせることができる呼吸のことをいいます。その実感が得られない段階では、呼吸がからだの健康のためになっているとは言えないでしょう。
からだをほぐすためには、口を大きく開けて空気を取り込む欠伸は、丹田腹式呼吸の鼻から息を吸って口で吐くという、鼻呼吸とはまるで逆なのですが、まず、欠伸を自由に出せるようになりましょう。
疲れたら、欠伸がでますね。これも自己防衛本能のなせる業ですね。
ところが、どうもうまく欠伸が出せない、という方が中にはいらっしゃるのです。
欠伸を途中でかみ殺したり、涙が出ない程度では、出したといえません。
まず、親指を顎の下にあてて、首を持ち上げ、気道を確保します。
次に、口から、息を吸います。息継ぎをしてもかまいませんから、どんどん空気を入れていきます。
欠伸が出そうになったら、もっと、顎を開いて、両手を上に伸ばし、万歳をします。その後、脱力して、両手をバタンと音を立てて下ろします。
実は、欠伸にとって、後の「伸び」と脱力こそが大切なのです。

普段リーダーでいらして、多方面でご活躍のみなさまにとって、こうしたお集まりの時間は、とても貴重な時間といえるでしょう。食後の30分ぐらいは、からだをゆったりとさせ、ほぐしてやる必要があるのではないでしょうか。時間をできるだけ有効活用するためにも、欠伸で涙がでるぐらいにからだをほぐしてやりましょう。
また、人間は、「からだの内側から老いていく」といわれています。からだのうちがわとは、内臓、胸側、両手足の内側ですね。是非、ここを鍛えてスローに歳をとりましょう。その第一段階が胸を大きく広げて欠伸をするということです。

「氣」をからだの内部から目覚めさせていくには、両手を36回以上擦り合わせて、両手の中に「氣」を育てるというところからとりかかると、つかみやすいでしょう。
そこから「氣、血、水」を流すというふうに運動を加えていきます。(以下略)